所沢駅の西口ロータリーにある銀杏の木が、盛夏の時期にあわせ、さっぱり頭になりました。
1 30年以上愛されるシンボルツリー
この2本の銀杏の木は、昭和61年(1986年)の所沢駅西口第一種市街地再開発事業による駅前広場の開設とともに植えられました。西武百貨店をキーテナントとするワルツビルもあわせて竣工した時期です。
それから30年以上、東口のくすのきとともにシンボルツリーとして市民に定着しています。
特に冬には、イルミネーションとしてライトアップされ、駅前を華やいだ空間に変身させてくれる名役者です。
2 ムクドリに見初められた木
銀杏の木には、夏前の日没時になると数えきれないほどの鳥が集まりねぐらとして陣とる状態が数年来続いています。
ロータリーの利用者は、賑やかな鳴き声に驚くことはもちろん、特に鳥たちの参集時には空からの落下物を心配しながら往来しています。
この鳥は「ムクドリ」といいます。大きさはスズメとハトの間くらいで、夏から冬にかけて大規模な集団ねぐらを形成する習性があります。
天敵となる鷹やフクロウが嫌う人の多い駅前かつ人が木の側に立ち入れない、ロータリーの真ん中にある銀杏の木が、ムクドリの御眼鏡に適ったようです。
ムクドリの駅前騒動は所沢だけでなく、全国で問題になっているようです。さいたま市では議会で取り上げられています。
3 さっぱり剪定
そして7月に入り所沢でも木の剪定が行われました。
隠れ家となる繁った葉を切り、止まり木となる枝を落とし、ぎりぎり樹形を保てる範囲の剪定を行い、かなりすっきりした姿になりました。
剪定後もムクドリはやってきますが、物理的に止まり木が少なくなったので、一定の効果はあったようです。
4 ムクドリ対策は全国で
他の自治体でもやはり対象となる木の強剪定が行われています。
ユニークな試みとして、会津若松市では爆竹をつかったり、金沢市では天敵にあたる鷹を利用した対策を行っています。
また、さいたま市では今年度からムクドリが嫌がる音を出すスピーカーによる対策事業を行うようです。
5 実は益鳥、ムクドリ
集まる場所によってはかなり迷惑なムクドリですが、農林業上有害な昆虫類を多数採食するため、益鳥として長い間狩猟鳥からはずされてきた経緯があります。
ねぐらの場所さえ棲み分けができれば、虫を食べるムクドリは市内1000ヘクタール余りの農地経営にとっても、住宅に住まう人にとってもありがたい鳥となります。
所沢駅の至近距離には、50ヘクタールもの広さがある航空公園があります。公園内にはねぐらに適した大木も多数あります。
鳥たちをうまく航空公園に誘導できれば、鳥にも人にも住みやすいまちになりますね。
ちなみに所沢市は市の鳥を指定しています。その鳥は、ムクドリではなくご存じの通り「ヒバリ」です。
➡ 写真で見るところざわの移り変わり(所沢市)
➡ 所沢駅西口第一種市街地再開発事業(所沢市)
➡ ワルツ所沢会社概要
➡ さいたま市議会(平成29年3月定例会一般質問)
➡ ムクドリ大群、空覆うJR姫路駅ロータリー(毎日新聞)
➡ 駅前ムクドリと終わらぬ攻防、専門家「共生探るべきだ」(朝日新聞)
➡ 第4回基礎調査動植物分布調査報告書 鳥類の集団繁殖地及び集団ねぐら(平成6年3月環境庁)