所沢駅西口のステーションビル2階で営業をしていた「芳林堂書店」が2月22日付けで閉店となりました。
グランエミオ所沢第2期工事のために、ステーションビルが解体されることによる営業休止です。
1 本屋さんが次々と閉店
東口のオリオン書房も、同様の理由から先月閉店となりました。西武所沢店で営業していた池田書店も3年前の2015年に閉店しました。所沢駅界隈で営業している書店は、イオン所沢店の「アシーネ」だけとなりました。
芳林堂書店は、プロぺ通りでの路面店、旧丸井での大型店、ステーションビルでの営業、そして航空公園駅での営業と、所沢と深い関係がありました。特に丸井店は、広くて綺麗で居心地の良いお店でした。
営業休止の発表後、店先に掲示された事務的ではなく情のこもった「閉店のお知らせ」や、お客さんが自由に寄せ書きできように置かれた「ありがとうノート」からも、あらためてお店とお客双方の思いが強く感じられるお店でした。
2 書店の閉店が相次ぐ理由は
なぜ街を代表する駅から、本屋さんが次々となくなっていくのでしょうか?
これは、所沢固有の原因というよりも、昨今の出版物市場を取り巻く環境の激変によるようです。
全国出版協会の統計によれば、書籍の売上はこの10年間で2割以上減少、雑誌にいたっては半減しています。さらにこの縮小する市場の中で電子書籍の売上比率が、例えば2017年のコミック部門では初めて紙媒体よりも上回りました。
実は今回閉店した芳林堂書店も2016年には自己破産し、経営が変わっていました。東口のオリオン書房も、同じ場所で経営していた雄峰堂書店は2008年に営業停止となりました。超大型店のジュンク堂書店ですら自力経営できず、本を供給する側の会社である「大日本印刷」が経営しています。
従来の枠組みで本屋を運営するのは、大変厳しい時代になりました。
3 今後書店はできるのか
このまま所沢駅界隈は、大きな書店の空白地帯になってしまうのでしょうか?
「所沢駅東口駅ビル計画」の開発概要によれば、
~店舗面積は約18,500m²の規模となり生鮮食品・グロサリーに加え、所沢市の市民サービスコーナーなど日々の生活をサポートするサービス、さらにアパレル・ファッション、雑貨、「書籍」、カフェ・レストランなど、約120区画の多様なテナントを集積した4層からなる店舗フロアを構成~
とあります。
2020年オープン予定のグランエミオ所沢第2期には、テナントに書店が入る可能性が十分ありそうです。
新しい本屋さんは、さらに厳しくなる時代にも継続して運営できるような新たな枠組みをもった、例えばその場での時間消費に付加価値があったり書籍と物販がリアルな場でリンクしたりなど、魅力的で居心地のよい場所になることを期待したいですね。
4 参考
➡ 全国出版協会